立候補するまでのキャリアを教えてください。
大学を卒業してから、一般的なサラリーマン生活を送っていました。今でも議員活動の傍ら、不動産の管理業を行っています。その前は旅行会社で全国を飛び回る仕事をしていました。2019年6月現在、私は42歳。5年前から地域の町内会長を務めています。民生委員や児童委員にも就任し、地域の問題に接してきました。町内会長をする中で、町内で起こっている様々な問題が議会や市政に反映されていないのでは、という疑念を持つようになりました。また市議候補予定者の中で、子育て支援の継続を重点的に訴える候補が少なく、高齢者支援を訴える方が目立ったのもきっかけ。高齢者支援は地域コミュニティ維持にとって重要でありがたい話。しかし子育て世代・現役パパの私としては、現役世代をないがしろにした福祉政策は成り立たないと考え、立候補しようと考えました。
市議会議員になって、どのようなことに注力しようと考えましたか。
私は小学生の子供を持つ親でもあり、もっと現役世代を大切にする政策を進めたいという想いがありました。子育て支援を軸に、人口減少対策に挑んでいきたいです。また町内会に届く書類はとんでもない多さです。議会の資料も膨大。まとめてペーパーレス化も目指したいと考えています。また何よりも大きな問題と感じたことは、胆振東部地震の際の情報の錯綜です。地震の時は町内で水が出なかったり、電気が通らなかったり、住民の方々は大変不便な思いをしました。しかし、その時にSNSを通じて多くのデマが流れていたのです。市はTwitterやFacebookのアカウントを持っているにも関わらず、全く情報発信せず、ほとんど活用されていませんでした。必要な人に、必要な情報を―当たり前のことですが、私が議員になったら実現したいことの一つです。
選挙を振り返ってみて、どのように感じますか。
周囲からは「無謀なチャレンジ」と言われました。前述の通り、高齢者福祉の政策ではなく、現役世代がより良い生活をするための政策を掲げる立候補者が少なかった事情があるとはいえ、周囲も驚いていたようです。また選挙に関しては素人。そのうえ準備期間がほとんどないまま公示が迫っていたため、後援会を創設できませんでした。当然支持基盤もありません。家族のや同級生、会社や地域のお知り合いの皆様、何よりも同世代の子育て世代の皆様に支えられた選挙でした。町内会長を5年間通して務めていたため、行政機関の方や他の地域の町内会長さんも私をよく知ってくださっていたこともあり、口コミで広げてくださったことも大きな支えになりました。
選挙用品は何を重視して選びましたか。
一番悩んだことは、「選挙に関する道具をどうやって用意しようか」ということです。北海道にも選挙用品のレンタルをしているお店はありますが、公示日間近の急な出馬だったので、もう手配できる状況ではありませんでした。またポスターなどの印刷物のデザインがあまり豊富でなく、他の候補者と似通ってしまうことが心配でした。ワラにすがる思いでインターネット検索したところ、一番上に表示されたのが御社でした。相談してみると、とても親身に相談に乗っていただき、私の作りたいもののイメージをくみ取りながら、プロの目線でアドバイスもいただきました。北海道は土地柄もあり、緑など自然をイメージさせる色やデザインを使う候補者が多かったのですが、御社とのやり取りで「後発だから差別化した目立ったものがいいかも」とのアドバイスを受け、私が好きな青とピンクを基調にしたものをと、デザインを依頼させていただきました。すぐに目立ちつつも品のあるデザイン案を出していただき、ほぼ即決で決めることができました。選挙を終えて感じたことは、有権者の方は選挙ポスターの印象が、議員を選ぶ決め手になることが多いことです。 選挙用品ドットコムさんに依頼して良かったと思う点は、色やデザインだけでなく、読みやすく、かつ印象に残りやすい字体を使ってくださったことです。私にとっては正に「ドンピシャ」と言えるものを作っていただけたので、本当に感謝しています。
どのような選挙活動を行いましたか。
まずは必要最低限の選挙用品を揃えて、「足で稼ぐ」選挙を行いました。子育て世帯に配慮し、私は街頭演説以外、車載の拡声器を使いませんでした。ポスターにも「車載の拡声器は使いません」と記載したほどです。農村地帯や山間部は御社のマグネットシートを張った車で回り、市街地は徒歩や自転車を使い地域をくまなく回り、有権者の方とお話しする地道な活動をしました。私は子育て支援を政策として掲げていましたので、街頭演説中に、子育てパパ、ママから「頑張って」というお声をいただき、大きな支えになりました。普通の選挙活動と言われるものからは程遠く、本当に最低限のことしかできませんでしたが、市議会議員の大先輩からは「こんな短期間で、本当によくがんばったね」と言っていただきました。実際に開票するまでは、少々開き直った気持ちだったのを覚えています。当選したらもちろん議員として地域に尽くしますが、落選しても、地域の町内会長として引き続き、様々な問題に力を注ぐだけですし、選挙に出たという経験をもっと若い世代に伝えたいという想いでした。一喜一憂している暇はなく、どのような形であっても、 立場は違っても自分が地域の問題に立ち向かう、という方向性に変わりなかったからです。
選挙活動中、印象に残った出来事はありましたか?
ポスター貼りに朝までかかったことです(笑)。私は後援会を作っていませんでしたし、応援してくださる方のほとんどは家庭やお仕事があり、手伝っていただくと負担になると考え、自分一人で190ヵ所以上にポスター貼りをしました。岩見沢市は面積が広く、非常に時間がかかりましたが、今となっては良い思い出です。また190ヵ所以上に自分の足を運んだことが、地域のことや市政的なことを知るきっかけにもなったので、有意義な経験だったと考えています。
選挙活動では何が大切だと思いますか?
まずは地域を大切にすることだと思います。地域を大切にしない方に、政治家は向かないと思います。私の場合、自分が住む地域のことについて、様々な統計を勉強するなど、徹底的に調べました。また地域の夏祭りやイベント、町内の草刈りなど、地域の集まりにも積極的に参加しました。その地域活動を通じて、地域の方々と世間話をして、仲良くなり、その地域をもっと好きになっていきました。市議会議員になるとより「人と人との関係が最も大切だ」と感じます。そのため、今住んでいる地域の方を大切に想い、大切に考えた行動をすることが、結果的に選挙活動でも重要なのではないでしょうか。
今後の目標を教えてください。
元々町内会長をしていて、それぞれの方の意見や立場、政治的な価値観が違うことは十分理解していたつもりです。ただし変わらないことは、皆さん「当たり前の日常を当たり前に過ごしていくこと」を大切に考えていることです。もちろん今後、技術革新が進み、科学技術が人に役立つことがもっと浸透するでしょう。その技術を活用しながら、住みやすい環境作りをしていくことが私たちの責務だと考えています。住みやすい環境であれば他の土地から移住する方が増えるなど、人口の増加や自由な経済活動にもつながるでしょう。そして福祉の政策をより充実させることができると思います。そのため住みやすい市を作っていくことが今後の目標です。
お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
【編集後記】
市議に立候補する前から町内会長として地域に尽力していた越戸さん。「自分の住む地域の方がより良い生活をするために、自分に何ができるだろう」と真剣に考える姿勢が、今回の取材で非常によく伝わりました。地域が好きで、人が好き、と語る越戸さんならではの、今後はより大きい改革や政策を進めてくださるに違いないでしょう。