立候補するまでのキャリアを教えてください。
大学卒業後、地元の済生会病院に16年近く勤務していました。実は私の父も、私が立候補する12年前まで市議会議員でした。父が議員だった16年間、私は、選挙や議会活動の手伝いをしてきたので、引退後も、政治に関心を持ち続けてきました。私が1期目の立候補に挑戦する前、ちょうど地方創生が大きな話題になっており、また私はPTA会長をしていたことから、子育て世代の問題にも関心がありました。
私が立候補する前は議会がかなり高齢化しており、10年後、20年後を見据えて私たち若い世代が活躍しなければ、地に足のついた政策が展開できないと感じたことが、市議会選挙に立候補したきっかけです。
立候補するにあたり、何か迷われることはありませんでしたか?
立候補をする前、知り合いや応援してくださる方、若い仲間たちから「選挙があれば出馬すれば」と声をかけていただいていました。ただ、具体的な政策が定まらない中、「ただ選挙に勝てば良い」という選挙をするのは絶対に嫌でした。「私は議員になって何をするか」が政治を始めるスタートだと考えています。そのため具体的な政策を練って、出馬しようと考えていました。前述の通り、私が立候補する前、議会の構成は30代や40代など、若い世代の議員はほとんどいませんでした。もし私が当選したとしても、すぐに何かを実現できるわけではないかもしれませんでしたが、長年父のサポートをしてきたことや、自民党の政治塾で県内各地の同世代の市議会議員、県議会議員の方とも人脈ができ、思い切って立候補することができました。2期目に関しては、1期目で誠心誠意推進した政策を、強い気持ちで2期目も進めるのみ、と考えていましたので、立候補に迷うことはありませんでした。2期目の当選は、1期目の4年間でやってきたことが評価していただけたからだと考えています。実際に2期目の立候補時には応援してくださる方が増え、その方々が色々な方に、目の見えないところで口コミを 広げていただき、非常に感謝しています。
1期目の立候補をする際、周囲の反応はいかがでしたか?
まず妻は、立候補するまでに勤めていた済生会病院の仕事が安定していたため、最後まで勤めてほしいという気持ちがあったようです。しかし私の推進したい政策を話し、現在の市議会の構成を知ってもらうことで、「あなたにとってやりがいがあるのであれば」と、最終的には応援してくれました。また1期目に立候補をするとき、強い地盤があるベテラン議員が同じ地区にいらっしゃいました。中には私のような若い候補者が出馬することを歓迎してくださる方もいらっしゃいましたが、ベテラン議員を相手に選挙戦をすることは、少し苦しい経験となりました。
選挙戦に向けて、準備はいつ頃から、どのように始められましたか?
4月末の投票に向けて、前年の12月末にそれまで勤めていた済生会病院を退職し、まずはリーフレット作りから始めました。リーフレットを作るにあたって、図柄やデザインなどを考え、発注する印刷屋さんを比較検討しましたが、一番目に留まったのが選挙用品ドットコムさんでした。地元の印刷屋さんに依頼すると、どうしても業者の数が少ないため、同じ選挙区の候補者が同じ業者でデザインを選ぶことが多く、インパクトのない同じようなものが仕上がってくるのが懸念要素でした。選挙用品ドットコムさんにはポスターとリーフレットをお願いしたのですが、見積の時点で金額がとてもリーズナブルなものをご提案してくださいました。またカラーリング診断で青が良いことが分かり、元々私は紺色が好きでしたので、ワンポイントに赤を使ったデザイン案を出してくださり、すぐにそのデザインが気に入ったので、即決しました。また担当者の方へ要望を伝えたら即日、遅くても次の日の朝に対応してくださるなど、スピード感を持って対応してくださったのが信頼につながりました。選挙用品ドットコムさんには、とても感謝しています。
経験を基に、これから選挙を志す方へ、選挙用品の役割や重要性を教えていただけますか?
まずは有権者の方に手に取っていただいて、常に自分を知っていただく選挙用品を作ることが大切だと思います。私の場合、3か月に1度の議会報告の際、きちんと報告しつつ、インパクトがあるものを持っていかなければ印象に残りません。ご自身のイメージが伝わるような色やデザインの選挙用品作りが、選挙を戦う時は特に大切ではないでしょうか。
どのような選挙活動を行いましたか?また効果があった試みはありましたか?
1期目の選挙活動では、地元では自転車と徒歩で歩いて、有権者の方々とコミュニケーションを取りながら選挙活動を行いました。あまりあからさまに拒否されることはなく、比較的皆さま優しく、応援してくださったので、心が落ち込むことはありませんでした。誠心誠意皆さまとお話しすることで、私自身も楽しく、選挙活動を行うことができました。2期目は現職議員として、3月の1か月間は、定例議会に全力を尽くす必要があるため、選挙の準備を十分にできないことが焦りにつながりました。しかし前の職場の仲間や4年間の活動を通して熱烈に応援してくださる方が増え、皆さまの力をお借りしながら、選挙活動を進めることができました。
投票日の心境はいかがでしたか?
当選確実の知らせをもらうまで、やはり不安でした。投票日の20時頃まで、電話できるところにはギリギリまで電話をして、できることはやり切るようにしました。特に2期目は隣の町内から強力な新人議員が出てくることで、「4年間支持してきたが、中野さんを応援できない」と言われることもあり、落ち込むこともありました。しかしすぐに気持ちを切り替え、1期目以上に力をいただくこともあるかと思い、前向きに投票日当日を迎えることができました。投票日当日は30分毎に選挙速報が出るのですが、陣営の方と一緒にヒヤヒヤしながら聞いたのを覚えています。しかし開票率が90%に達した時、一番の得票数をいただいたことを知り、自身はもちろん、周囲の方も大変驚いていました。ホッとしたのが正直な感想です。自宅に戻ったのは深夜2時近くでしたが、まずは両親にお礼を言いました。心底喜んでくれたことが記憶に残っています。
選挙を有利にするポイントはありますか?
すぐに成果が出ることではなく、時間はかかりますが、まずは自分の実現したいことを丁寧に、誠実にやっていけば、支援者も増え、選挙を有利に進めることができるのではないでしょうか。
今後取り組みたいことを教えてください。
まず実現したいことは議会の改革です。議会を市民に分かりやすくお伝えすることが、私自身の使命だと考えています。また議員の資質向上についても、議員ならでは挑戦できることです。また私自身が子どもを持つ子育て世代なので、現場に入り込んでより子育てしやすい環境作りを実現したいと考えています。
今後政治家を目指す方や、若手政治家の方にメッセージをいただけますか。
議員になって「何をやりたいか」を明確にすることが、私は最も大切だと思っています。なぜなら若い頃に立候補して政治の世界に入っても、思い描いたイメージと違って挫折してしまうこともあるからです。自分が描いていた政治の世界と、政治の中に入ってからとはかなり違う、とおっしゃる議員も少なくありません。しかし具体的に実現したいことがあれば、積極的に先輩議員に話を聞くことや、市職員の協力を得て一緒にやっていくことができるので、何をもって政治家を目指すのか、見つめてもらいたいと思います。周囲の方に何を言われようが、信念さえあれば、厳しい世界でもやりがいを感じ、政治の世界で十分やっていけると思います。
お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
【編集後記】
2期目の当選を果たした中野さん。謙虚な姿勢で、丁寧・誠実に「4年間進めてきたことが評価されたと思う」と語ってくださいました。実際、1期目よりも2期目に応援者が増え、またその方々が目に見えないところで口コミを拡げてくださり、どんどんと支援者が増えていかれたそうです。今後、市民に親しまれ、頼りにされる市議会議員として、進められる改革が楽しみです。